小さな恋のものがたり

「大空に描く夢がありますか?

 名を呼べば胸が痛くなる人がいますか?」

 

もう何十年前になるでしょう。

漫画家みつはしちかこさんの”小さな恋のものがたり”に書かれていた詩です。

いつかこの詩に共感できる日がわたしには来るのだろうか、と

描く夢も呼ぶ人も無いことに嘆いていました。

今日、何故かこの詩が頭に浮かび、今は共感できる自分に気づきました。

そして大空に描けるほど大きい夢、胸が痛くなるほどの人というのは

そうそう無いことをこれまでの人生を振り返って実感しました。

当時みつはしさんはお幾つかは存じませんが、

この詩を書ける心の素直さに今更ながら感動します。

たとえ大空に描ける夢と、胸の痛くなる人を手に入れたとしても、

いつも自分の心の中で育んでいなければ描ける夢はしぼみ、

胸の痛みも慣れてしまうのではないでしょうか。

夢にも人にも小さな恋の芽を植え、愛することが人生のものがたりを

豊かにしてくれるのでしょうね。