
夜
窓の外
ガサと音がする
今度は窓の側で
「誰?」
ミンミンと小声で鳴いた
「ごめんなさい、あなたを待っているのではないの」
ジジジジと鳴いた
「明かりを頼りに飛んで来たの?」
ミーンと鳴いた
「こんな夜はあなたでさえも側にいて欲しいけれど
あの人の代わりはできないでしょう?」
ジジジと応えた
「代わりでもいいの?
でも私は代わりはだめなの、恋にならなくて」
・・・・
「あなた、つかの間の世でしょうから
早くよそにおゆきなさい」
ジ
「もうすぐお盆がくるけど
いつ来るのでしょう、あの人は」