春と秋の間に

夏。

滑る様に身を任せるごとく始まった今年、春の花びらを散らす小嵐が続きました。

そこ、あちらと移動を繰り返す日々は何度も桜を観る日々で、春が長く感じました。

梅雨短く、一気に真夏がやって来て、衣替えも追いつかぬまま真夏が来ました。

朝早くともじりじりさす陽射しは少しずつ肌を深く染め、

こんなに焦げては赤のマニキュアも似合わないかと眺めながら

少し前まで大きめだった指輪がキツくなっていることに気づきました。

あなたがはめた指輪。

これまで無い程に髪を短く切り、ヒールの高さも低くなり

46時中、働いている夏。

まだ指輪の日焼け跡は出来ていないから夏は続くようです。

そう、あと数ヶ月経てば。

日焼けの跡も出来て、虫が鳴き、葉も色つき、空が広くなり

陽射しの痛さも恋しくなる秋が来るでしょう。

それはどんな感じなのか。

夏が恋しい秋なのか。

待ちわびた秋なのか。

あなたが置いた夏。