伊予柑と部活

今朝、母から電話がありました。

「ようかん 1箱送ったら食べれる?」

「ん? ようかん1箱って何個入っているの?」

「嫌ねぇ、い・よ・か・ん ですよ、伊予柑!」

 

その瞬間、私が13歳の時の部活を思い出しました。

2泊3日の新体操の部活。

総勢50人の中学生で、朝から夜まで1000回縄跳び、ランニング15分、基礎体力作りと演技の練習です。

新体操のシューズは川底が薄いので体育館の冷たい温度が伝わってきて指の感覚がありません。

辛い練習ですが同級生も先輩も誰も根を上げず、愚痴もいいません。

「私だけが弱虫なのかな?他の人は何て強いのだろう」と心の中で思っていました。

夜、大きなお風呂で身体を洗った後、先輩、そして先生の背中を流しに行きます。

最後にお風呂を掃除して上がるのですが、そのことは身体が冷え、もうヘトヘトです。

1日目が終わり、寝る布団の中で「明日も練習するなんて、もう嫌だな」と思いました。

翌朝、午前の練習をしていると「荷物でーす」と段ボール箱が体育館に届きました。

先生が受け取り、段ボール箱を開けると冷たい体育館に不似合いなオレンジ色した伊予柑がびっしり

入っていました。

「わぁぁ」みんな覗き込みました。

私の母から届いたことを先生が伝えました。

私はいろんな思いが浮かんできました。

この部活に唯一母だけが差し入れをしてくれた母の人柄のこと、

きっと母は私が頑張っていると思っているに違いない、と思いました。

そして昨夜まで弱音を何度も心で呟いていた自分を戒めました。

 

今、部活の様な生活をしている私に母が伊予柑を送ってくれるという。

やはり今回も見破られたのかな。