
映画の「ティファニーで朝食を」は作者トルーマン・カポーティのイメージとかなり違う映画の出来と聞いたことがあります。
配役のオードリー・ヘプバーンも彼がイメージしていたのと全然違うと怒ったとか。
有名なシーンのひとつに、ティファニーのショウウインドウの前でクロワッサンを食べるシーンがあります。
太りやすいオードリーは何度も監督からOKを貰えず、ずっと食べたふりをしていたそうです。
わたしはこのクロワッサンを食べるシーンが大好きです。
モノクロの映画ですので、そのシーンが朝なのか夜なのかわからないのですが、アパートメントに戻って鍵が見つからず、ベルを押すと日本人に見立てたおじさんが「今何時だと思っているんだ!」と怒ったので「朝帰り」とわかります。
夜明け近くまで遊び(仕事?)、小腹を満たすのにカップ珈琲とクロワッサンを買ってタクシーで帰る途中、ショウウィンドウを覗くのです。
どんな思いで覗いているのでしょう。
「あのダイヤ、欲しいわ」
「今度はあれを買ってもらおっと」
「いつかあの宝石が似合う人になりたいわ」
「あー、あの宝石がまだ売れていなくてよかった」
「買ってくれる人が現れないかしら」
小腹が空いているのと同じ様に、「満たされていない」という気持ちが台詞は無いのによく伝わってくるシーンです。
10代で初めてこの映画を観たときは満たされなくお腹がぺこぺこでしたが
今は違います。
「お客様、何かお探しでしょうか?」
「いえ、お腹いっぱいなの」