
子供のころにエディット・ピアフを初めて聴いたとき、シャンソンは暗いなという位で
その時は何の感動もありませんでした。
39歳の冬、窓の外は雪がシンシンと降っている自分の部屋のラジオから
彼女の「愛の讃歌」の歌が流れてきました。
突き上げて来る感動が身体を通り抜け、すぐコートを羽織り彼女のCDを求めて雪の積もる中を
走りました。
何度、その夜は繰り返し聴いたことでしょう。
そして、何が私を突き抜けたのでしょう。
今、振り返って思うことは、
私が歳をとり、いろんな経験をし、彼女の歌を感じれるようになったということです。
その後に読んだ彼女の自叙伝は、より彼女の歌に耳を傾けずにいられない心境を
私に与えました。
国葬というフランスの葬儀も感動しますが、1軒1軒の人々の家も大きな黒いリボンで
飾られたほど、フランス人の心を感動させた彼女の歌は、歌以上の閃光を放った
彼女の流れ星のような一途な生き方だったと思うのです。